近未来通信事件で思うこと

近未来通信の投資詐欺事件については、連日新聞やテレビで報道されているので皆さんご周知のことと思います。通信業界で仕事をしている身としては、騙した方にも騙された方にも色々言いたいことはあるのですが、今さら私がここで論じるのも何なので、ここでは釈然としないことを一つだけつらつらと述べさせて頂こうかと思います。
それは、近未来通信の広告を掲載し続けた新聞や雑誌の責任についてです。ウチは日本経済新聞しか購読していないので他の全国紙のことは知らないのですが、日本経済新聞にはたびたび近未来通信の広告が掲載されており、中継局への投資を募っていました。恐らくは、他の新聞にも同様の広告を出していたものと思います。で、その当の新聞が今は近未来通信の悪行を連日記事にしている訳です。
通信業界で仕事をしている関係者の間では、近未来通信が非常に怪しい会社であることはずっと以前からわかっていた事です。あれだけ新聞や雑誌に広告を出し、世界中にネットワークを構築していることを喧伝している割には、通信業界で全く存在感が無かった会社ですから、本当に通信事業を営んで利益を出しているのかどうか怪しいと思うのは当然でした。
で、そうしたことを、経済新聞を標榜する日本経済新聞の業界担当記者が知らないはずがありません。知らなかったら馬鹿です。にも関わらず、近未来通信の広告を掲載し続けていた訳ですから、あまりにも節操が無い事だと思わずにはいられません。記事を書く人と広告をとる人は別だから、などと言うのは言い訳にもならないですよね。怪しい会社の広告を掲載し続ける自社の新聞のことを、担当記者たちはどう感じていたのでしょうか。
マスメディアが広告無しには成り立たないことは承知していますが、だからと言って何でもかんでも広告を載せて良いというものでもないでしょう。それが、日本経済新聞やその他の全国紙ともなれば社会の公器でもある訳ですから、己の持つ影響力を充分に鑑みて、載せる広告を選ぶべきではないのでしょうか。そうした事には一切触れず、そ知らぬ顔で近未来通信の事件を報道している新聞や雑誌の無責任さに、やや呆れている今日この頃です。やっぱり、何でも鵜呑みにして信用してはいけないという事ですね。